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RF伝導妨害イミニュティ試験(IEC/EN 61000-4-6)でEMクランプを使用する時の注意


ここでは、IEC/EN 61000-4-6に基づく、RF伝導妨害イミニュティ試験について、EMクランプを使用して試験を行う場合の注意事項を説明します。
一般的に、簡便性のために、EUT間の相互接続線(信号線や電源線)やEUT(試験対象機器)とAE(周辺機器)間の信号線などのRF伝導妨害イミニュティ試験では、EMクランプを使用することが多いです。
原則として、150kHzからの減結合を確保するためには、RF導入ポートが50Ω終端されていない結合減結合回路(以下CDN)をEUTに接続される全てのケーブルに挿入する必要がありますが、多種わたる製品を取扱う試験所においては、全てのCDNを用意することは、なかなか簡単ではありませんし、UEB 2.0用、10/100 Base-T以降のLAN用、IEEE 1394用などの高速通信用のCDNが存在していない(接続すると通信性能が劣化するか、あるいは通信が確立できない)ことも確かです。
EMクランプによる試験は簡単ですが、試験セットアップを間違うと、正しい試験結果が得られなくなる可能性が高い(あるいは、場合によっては製品が壊れる可能性もある)ので注意が必要です。

EMクランプを使用して、正しい試験結果を得るためには最低限何を考えてセットアップすれば良いのか、次の内容で説明していきます。

1)EMクランプ試験にする置換法用のデータ取得時におけるセットアップと実際の製品セットアップとの相違
2)コモンモードインピーダンスが150Ωになるセットアップ条件とは
3)EMクランプのAE側のインピーダンスの違いによるEUT側の電圧の違いは?
おまけ) IEC 61000-4-6:2003, 「7項: テストセットアップ」の和訳〜試験セットアップを理解するためにも絶対読んでくださいね!!


1)EMクランプ試験にする置換法用のデータ取得時におけるセットアップと実際の製品セットアップとの相違

EMクランプを使用する場合には、最初に、置換法用のデータ取得治具を使用して、EUT側のポート試験電圧が規格要求値(試験電圧の1/6)になるように、試験周波数全域の校正カーブを取得する必要があります。
この時のセットアップは以下のようになります。
・EMクランプのEUT側ポートとAE側ポートは、それぞれ150Ω-50Ωアダプターと50Ωの終端の使用により150Ωに整合され、EMクランプには100Ω抵抗を介して50Ω系の信号発生器/アンプからパワーが供給される。
・EMクランプにはさむ校正ケーブルとしてEMクランプ長さ約0.6mに合うように可能な限り短いケーブルが使用される。
・これらの専用治具の使用により、EMクランプのRF導入部とEUT側の試験電圧モニター部との距離は大体0.1mに調整され、EMクランプのAE側へのケーブルのはみ出しも数cmとなる。
・また、校正ケーブルの基準接地面からの高さも3〜5cmの間に配置される。
ただし、上記コモンモードインピーダンス=150Ωの条件で取得された校正カーブを、実際の試験セットアップで使用する場合には、次のような問題が発生することになります。

●EMクランプで試験を行うケーブルで接続された機器間において、EUT側ポートとAE側ポートのコモンモードインピーダンスは150Ωでない。
->当然、製品の大きさやアース線の有無などにより影響されることになる。
●実際の試験対象ケーブルと校正に使用したケーブル長さが異なる。
->EUTとEMクランプ間の距離が長くなれば、それだけ試験周波数範囲における共振周波数を発生させ、これが定在波として残ることにより、パワーのロスが生じる可能性が高い。
●AE側ポートの条件が製品によって異なる。
->AEが存在しない(=開放端)、終端処理、信号のループバック、センサーなど、いずれも、このままではAE側のコモンモードインピーダンスを150Ωとすることができません。

上記の問題のために、規格では、コモンモードインピーダンスが150Ωを満足できるセットアップ条件を記述していますが、実際にはそう簡単ではありません。
EMクランプを使用して試験する時に一番大事なことは、試験規格にも記載がありますが、「AE側のセットアップを150Ωコモンモードインピーダンスにできるだけ近づけること、それは150Ωと同等かそれ以下である」ことです。
逆に一番やってはいけないことは、「AE側を開放にするなど、AE側のコモンモードインピーダンスを、150Ωより大きくする」ことです。この場合には、EUT側に印加される試験電圧が、試験レベルより著しく小さくなる可能性があります。


2)コモンモードインピーダンスが150Ωになるセットアップ条件とは

最初に、残念ながら、IEC 610004-6:2003(Ed.2.0)が2003年に発行されましたが、これに対応したEN規格の発行はいまだにされていません(〜色々とEd.2.0で問題があるのはわかっていますが、一体いつになったらEN版発行されるんでしょうね。Ed.2.0の中にも有益な情報が多いためにもったいない限りです。)このような現状はこのため、EU域に製品を販売するために必要なCEマーキングを取得するために実施するEMC試験においては、旧版と同等のEN 61000-4-6:1996 +A1:2001(Ed.1.1)が有効になっています。
実際、Ed.1.1とEd.2.0では、EMクランプ使用時に150Ωコモンモードインピーダンスを満足させるための要求事項が異なっており、試験を行う上で混乱の原因の1つになっています。以下に、Ed.1.1とEd.2.0における「試験電圧の注入方法の選択のためのフローチャート」と「EMクランプ使用時の代表的なセットアップ」について示します。


EN 61000-4-6(Ed.1.1)(左)とIEC 61000-4-6(Ed.2.0)(右)のEMクランプ選択までのフローチャート
&EMクランプ使用時の代表的なセットアップの内容の違い

下表に、Ed.1.1とEd.2.0における、EMクランプ使用時に150Ωコモンモードインピーダンスを満足させるための条件の比較をまとめました。

EN 61000-4-6(Ed.1.1)要求

IEC 61000-4-6(Ed.2.1)要求

クランプ注入によって使われた各AEは接地基準面の0.1m上の絶縁サポートに置かれる。

<-同じ

(6.2.4項に説明あり)
減結合回路網は試験対象でないケーブルでも、EUTかAEに接続されているすべてのケーブルに取付けなければならない。

減結合回路網は、テスト下のケーブルを除き、EUTとAEの間の各ケーブルに挿入する。

EUTに接続されるケーブル以外で、各AEに接続される全てのケーブルには減結合回路網を取付けなければならない。

<-同じ (各AEに接続されたすべてのケーブルは、それらがEUTと接続される時以外は、減結合回路網が挿入される。)

これらの減結合回路網は、AEから0.3m以上離してはならない。AEと減結合回路網、または、AEと注入クランプ間のケーブルは、束にしても包み込んでもならず、また、基準接地面上で30mmから50mmの高さに保たれなければならない。

<-同じ

AEと注入クランプ間のケーブル長は、高周波(>30MHz)における再現性を改善するためにできる限り短く(0.3m以下)しなければならない。このことはEMクランプを使用する場合、>10MHz以上の周波数(λ=30m未満)においてはコモンモードインピーダンスが主にEMクランプによって決定されるため、それほど重要ではない。

記載なし

各AEにおいて、EUTに対し最も近いものに接続されたケーブル上に取付けられた減結合回路網は、入力ポートを50Ωで終端したCDNによって置換えなければならない。(附属書A, 図A.7)このCDNは、AEが基準接地面に対して150Ωの負荷となるようにする。AEに(別個の)接地端子がある場合、この接地端子は50Ωで入力ポートを終端したCDN-M1回路網を通して基準接地面に接続しなければならない。一方全ての他のケーブル上の減結合回路網ははそのままにしておく。(*1)

内容変更:
テスト下のケーブルの一端にEUTがあり、反対端にAEがある。複数のCDNsはEUTと、そしてAEと接続できる; しかし、EUTとAEのそれぞれの上の1つのCDNだけが50Ωにおいて終端されることとする。 CDNの終端は7.2における優先度に従って選ばれることとする。

(記載なし)

いくつかのクランプが使われる時に、注入は1つずつテストのために選ばれた各ケーブルの上で実行される。 注入クランプによってテストのために選ばれるけれども、実際に試験されないケーブルは6.2.4に従ってデカップリングされることとする。

*1. これがEd.1.1のセットアップで混乱を招いた文章。ここでは、「EUTに一番近いAEのみに50Ωで終端されたCDNを入れろ」とあるのに8項の試験手順(図8,図9,図A.7)では、「CDNのRF印加していないRF入力ポートについては、全て50Ωで終端せよ」と記載がある。

上記より、EMクランプ使用時にコモンモードインピーダンスの150Ω整合を満足するセットアップ条件とは、次の内容になりますね。

a)EUTとAEは基準接地面から0.1m高さに用意された絶縁台上に配置される。
b)EUTに接続される全てのケーブルは、基準接地面から3〜5cmの高さに、束ねないで、包み込まない状態で配置される。
c)EUTに接続される全てのケーブルには、試験ケーブル以外は、減結合回路が取付けられる。
d)EMクランプの両端に接続された機器上で、コモンモードインピーダンスが150Ωになるようなデバイスを取付ける。

簡単そうですが、上記のc)とd)は、実際の製品上では色々なケースがあり、難しいところです。


3)EMクランプのAE側のセットアップ条件の違いによるEUT側の電圧の違いは?

実際に、EMクランプ試験にする置換法用のデータ取得時におけるセットアップ(下図)で、AE側のセットアップを以下の条件で変化し、その時のEUT側の電圧を電流プローブでモニターしてみました。

AE側条件;
(1) 150Ω
(2) 100Ω
(3) 50Ω
(4) 基準接地面に接続(PE)
(5) 開放(open)


AE側のセットアップを150Ωとした時のEUT側の電圧読値をベース(0dB)に、AE側の各セットアップにおけるEUT側の電圧の違いはグラフ(下)のようになります。

AE側

結果と考察

100Ω

30MHz付近まで過剰試験となっている。(約1.5dB)
>30MHzでは逆に過小試験となり、80MHzで最小(約-0.9dB)となっている。

50Ω

30MHz付近まで過剰試験となっている。(約3dB)
>30MHzでは逆に過小試験となり、80MHzで最小(約-4dB)となっている。

PE

<30MHz付近まで過剰試験。<10MHzで約5dB〜約2倍近い試験レベルとなっている。
>30MHzで過小試験側にふれる。最小で約-7.5dB〜1/2を下回る。
<30MHz付近まで過剰試験が継続される。この結果から、両端接地のシールド線を試験する時には、AE側のPEに対して必ず50Ωで終端されたCDNが入るセットアップを実施すること。

Open

<1MHzでは、EUT側に全く試験電圧が印加されていない。
10MHzで-6dB。
20MHzで大体試験電圧レベル。
>20MHzでは、過剰試験になる。(約2dB程度)
**この結果からもわかるように、AE側を開放とするようなセットアップは絶対行ってはならない。

今回の実験結果から、EMクランプ使用時のセットアップでは、以下のことを注意する必要があります。

●EMクランプ使用時には、EMクランプの両端が150Ωで整合されるようなセットアップを確実に行う。
(最低でも)EUT側電源線に50Ω終端-CDN、試験ケーブルが接続されたAE側機器の電源線にも50Ω終端-CDNが配置されること。
●EUT側電源線に50Ω終端-CDNはあるが、試験ケーブルの端末が開放の場合、試験ケーブルがシールド線なら50Ω終端CDN-M1をシールド部に追加する。(*2)
*2. 試験規格では、AE側のコモンモードインピーダンスが150Ωにできない場合、CDN-M1や150Ω抵抗の追加による整合を認めています。

絶対やってはいけないセットアップは下記の通り。


●EUT側電源線に50Ω終端-CDNはあるが、試験ケーブルが接続されたAE側機器電源線にはCDNなし。
->この場合、試験ケーブルがシールド線で両端接地なら、今回の実験のAE側=PEとなり、<10MHzで、試験レベルの2倍近いRFがEUT側に印加される可能性があります。
●試験ケーブルのAE側が開放。
->この場合、EUT側に50Ω終端-CDNがあり、試験ケーブルがシールド線で両端接地なら、今回の実験のAE側=OPENとなり、20MHz付近まで、EUT側に試験電圧レベルのRFが印加されず、正しい試験が行われない可能性があります。

以上、EMクランプ使用時には、EUTとAE、およびケーブルのセットアップに注意し、また、EMクランプの両端のコモンモードインピーダンスが150Ωになるように50Ω終端のCDNなどが適切な位置に挿入されているか十分理解して試験を行ってください。


おまけ
IEC 61000-4-6:2003(Ed.2.0)内で、絶対に読んでおいて欲しい「7項:テストセトアップ」について、以下に和訳を用意しておきました。

(下線はEd1.1からの変更点です。)

7. 卓上型装置と床置型装置のためのテストセットアップ
テストされる装置は、接地基準面より高さ0.1mの絶縁サポートの上に置かれる。 EUT上に存在する全てのケーブルは接地基準面上の少なくとも30mmの高さでサポートされなければならない。装置が、パネル、ラック、またはキャビネットに実装されるようにデザインされるならば、それはこの形態の中でテストされなければならない。テストサンプルのサポートが必要な場合、サポートは非金属、非導電性の素材で構成されなければならない。装置の接地はメーカーのインストール指示と一致していることとする。
結合/減結合デバイスが必要な場合、それらはEUTから0.1mから0.3mの間に位置しなければならない。 この距離は、接地基準面のEUTの投影から結合/減結合デバイスまで水平に測定される。 (図6, 図9, 図10) 7.1項から7.7項はより詳細な情報を提供する。

7.1 注入の方法とテストポイントを選ぶためのルール
結合/減結合デバイスを取付けるケーブルの型式と数を選択するために、典型的な設置条件における物理的な形状、例えば、一般に最長となる時のケーブル長さ、を考慮しなければならない。
すべてのテストのために、EUTとAE(CDN内部ケーブル長も含める)の間の全体のケーブル長は、EUTのメーカーによって指定された最大長を越えてはならない。

7.1.1 注入方法
図1は、注入方法を選ぶためのルールを示す。
この場所に指定されていないところでは、テストするための選択されたケーブルを含むEUTは主用途と一致した方法で構成され、インストールされ、配置され、操作されるものとする。この規格にリストされないが、規格の要求事項を満足するCDNsも使われるかもしれない。
EUTから来るいくつかのケーブルが10m以上の長さにわたって密接しているか、EUTから他の機器へケーブルトレイかダクトの中を通って行っている場合は、これを1本のケーブルとみなす。
製品委員会が、ある種の結合/減結合デバイスが、その製品群に接続しているケーブルには、より適切であると決めるならば、その選択(技術的基礎の上で正当化される)は優先される。 これらの機器は製品規格において説明される。CDNの例は付録Dの中で説明される。

7.1.2 テストされるポート
どのような1つのテストの中ででも、2つの150Ωのネットワークだけが必要とされる。テスト信号の注入のために使われたネットワークは、違うポートに(それが試験される場合には)移動できる。 CDNがポートから取外される時、それは減結合回路網に置換わるかもしれない。
EUTが複数の同一のポート(同じ入力/出力の電子回路、負荷、接続された装置など)を持っているならば、これらのポートの少なくとも1つは、テストが、すべての異なるタイプのポートがカバーされていると保証されるように選ばれること。


7.2 CDN注入法のための手続
CDN注入を使う時、以下の確認が行われること。
-AEがGRPの上に位置するなら、それは、GRPより0.1m上に置かれること
-1つのCDNがテストされることを意図しているポートに接続され、50Ωの終端されたもう1つのCDNが他のポートに接続されなければならない。 減結合回路網は、ケーブルが接続する他のすべてのポートに取付けられなければならない。 これは、各端が150Ω終端されたループが1つしかないことを意味する。
-終端されるCDNは以下の優先度に従って選ばれなければならない。

1) 接地端子の接続のために使われたCDN-M1
2) 注入ポイント(試験ポートへの最も短い幾何学的な距離)に最も近いCDN-Sn(n = 1, 2, 3,..)
3) メイン(電源)のために使われたCDN-M2, CDN-M3, CDN-M4, CDN-M5
4) 注入ポイント(試験ポートへの最も短い幾何学的な距離)に最も近い他のCDN

-EUTが1つのポートしか持たないなら、そのポートは注入のためのCDNに接続される。
-少なくとも1つのAEがEUTと接続され、1つのCDNだけがEUTと接続することができるならば、AEの1つのポートに上記の優先度に従って50Ωで終端されたCDNを接続し、他のAEへの接続は減結合されなければならない。


7.3 コモンモードインピーダンス要件が満足できる時のクランプ注入のための手続
クランプ注入を使う時に、AE(補助機器)のセットアップは、6.2で要求されたコモンモードインピーダンスに可能な限り近づけなければならない。クランプ注入を適用する各AEは、可能な限り機能上の設置条件に近い状態にしなければならない。要求されるコモンモードインピーダンスに近づけるためには、以下の手段をとる必要がある。
-クランプ注入によって使われた各AEは接地基準面の0.1m上の絶縁サポートに置かれること。
-減結合回路網は、テスト下のケーブルを除き、EUTとAEの間の各ケーブルに挿入されること。
-各AEに接続されたすべてのケーブルは、それらがEUTと接続される時以外は、減結合回路網が挿入されること。(6.2.4と図6)
-各AE(EUTとAEの間のケーブルの上のそれらを除いた)に接続している減結合回路網はAEから0.3mより離れないこと。AEと減結合回路網の間のまたはAEと注入クランプの間のケーブルは束ねられず、包まれないこととし、接地基準面(図6)上の30mmと50mmの間に保持されることとする。
-テスト下のケーブルの一端にEUTがあり、反対端にAEがある。複数のCDNsはEUTと、そしてAEと接続できる; しかし、EUTとAEのそれぞれの上の1つのCDNだけが50Ωにおいて終端されることとする。 CDNの終端は7.2における優先度に従って選ばれることとする。
-いくつかのクランプが使われる時に、注入は1つずつテストのために選ばれた各ケーブルの上で実行される。 注入クランプによってテストのために選ばれるけれども、実際に試験されないケーブルは6.2.4に従ってデカップリングされることとする。

他のすべての場合(訳注:上記条件の全てが満足できない場合)、7.4において与えられた手続はとられるべきである。

7.4 コモンモードインピーダンス要件が満足できない時のクランプ注入のための手続 (以下、大筋でEd.1.1と変更なし)
クランプ注入時にコモンモードインピーダンス要求事項にAE側で満足できない場合、AEのコモンモードインピーダンスがテストされているEUTポートのコモンモードインピーダンスと同等かそれ以下であることが必要である。そうでない場合、AEポートでこの条件を満たし共振を防止する必要がある(例: AEから接地までにCDN-M1や150Ω抵抗を使用する)。この手続の中では、7.3との差異だけのみを示す。
-クランプ注入によって使われた各AEとEUTは、例えば、EUTが接地基準面に接続しているか、絶縁サポートに置かれているとしても、可能な限り機能上の設置条件に近い状態にしなければならない。(図A.6, 図A.7)
クランプとEUTの間に挿入した特別な電流プローブ(低挿入損)によって、(6.4.1で設定された)誘導電圧から生じる電流は監視されなければならない。この電流が下記の公称回路値:Imaxを越えるならば、試験発生器のレベルは、測定電流がImax値と等しくなるまで減少させられなければならない。
Imax = U
0/150Ω
適用された修正された試験電圧レベルはテストレポートの中に記録されなければならない。
再現性を保証するために、テストセットアップはテストレポートの中で完全に説明されなければならない。

7.5 直接注入のための手続
シールドケーブルに直接注入を使う場合、以下の確認を行うこと。
-EUTは接地基準面の上の0.1mの高さの絶縁サポートに置かれなければならない。
-テストされているケーブル上で、減結合回路網は注入ポイントに可能な限り近く注入ポイントとAEの間に位置していることとする。 2番目のポートは150Ωの負荷(50Ωで終端されたCDN)を接続しなければならない。このポートは、7.2における優先度に従って選択されなければならない。 EUTに接続された他のすべてのケーブルには、減結合回路網が取付けられなければならない。CDNは開放のまま使用された場合、減結合回路網とみなされる。)
-注入ポイントは、接地基準面上のEUTの幾何学の投影から、0.1から0.3mの間に位置していなければならない。
-テスト信号は、100Ωの抵抗器を通して直接ケーブルのシールドの上に注入されることとする。(6.2.3)
Note: シールド箔に直接接続する時には、信頼できるテスト結果を得られるよい接続を保証するために注意が必要である。

以上です。お疲れ様でした。

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